捕まえられました。



   これの続き
※現代転生パロ、伏木蔵女体化







「またあの人いなくなったんですか!?」
「そうゆうことだ。諸泉、探してこい」
「そ、そんなあ…」
 はじめまして、こんにちは。私の名前は諸泉尊奈門と言います。今の仕事を始めて早一年、仕事は大変ですが、先輩にも恵まれ、待遇もそれなりなこの職場を私は気に入っています。気に入っているのですが、ひとつ大きな問題があるのです。
 それは私の最も尊敬する上司、雑渡昆奈門その人のサボり癖なのです。
 ふらりとどこかに消えてしまい、その度に私達部下は探してあちこちを奔走することに…。最近では先輩達から専ら私が雑渡さんを探す係りにされてしまっているのです。




 こうしてしても始まらない。とりあえず携帯に電話してみよう。大抵留守電になっていて出ていてくれないが、ごくごく偶に電話に出てくれて走り回らずに済むこともある。
 呼び出しのコールの音が5回鳴り終わったその時、その音が不自然に途切れた。
『あー、もしもし?』
 本人が出た! 思わず私はガッツポーズをしてしまった。
「もしもしじゃないですよ!早く帰って来て下さい!」
『うーん、ちょっと難しいみたいな?』
「難しいって…どこにいるんですか?」
 いったいどこで何をしているのかと思いながらも、尋ねてみれば場所は駅前のドーナッツ屋だった。どうしてそれで帰るのが難しいのかまったく想像なんてつかない。
「…わかりました。とりあえず今から行きますんで、そこから動かずにいて下さいね!」
 一方的に行って通話を終了させて、私は急ぎ足で駅前のドーナッツ屋に向かうのだった。




「いらっしゃいませー!」
 店に着いた私はまず上司の姿を探して辺りをきょろきょろと見渡す。
(あ、いた!……て、ええええええ!?)
 確かにいた。いたにはいたのだが、一人ではなかった。
 綺麗な大人の女性だったら私もここまで驚かなかっただろう。雑渡さんはモテるから、女性が帰してくれない、なんてあり得る話だ。
 でも、一緒にというか、ちょこんと膝の上に座ってにこにことドーナッツを食べていたのはどう見ても少女だった。
 しかも空いている席に少女の物だろうと思われる、赤いランドセルが置いてある。
(誘拐、援助交際、猥褻行為)
 私の脳裏を思いつく限りの犯罪が過ぎっていく。
 そうして固まっていると、私に気が付いた雑渡さんが手招きしている。ふらふらとそちらへと行き、私は小声で告げる。
「自首しましょう。自首なら少しは罪が軽くなりますから」
「君は自分の上司をどんな人だと思ってるのさ」
「いや、そんな人じゃないと思っていたんですが、さすがに私も現場を目撃してしまったら…」
「だから、違うっつーに」
 突っ立ているのもあれだから、と空いている席に座らせられた私はあの人の膝の上にいる少女をついまじまじと見てしまう。
 すると少女は顔を上げて、にこりと笑った。
「こんにちわー」
「こ、こんにちは」
 あまり顔色は良くないようだが、不本意にこの場に連れてこられた様子ではなさそうだ。少しばかりほっとした。
「…で、この子はどうしたんですか?」
「どうって…そうだなぁ、捕まえられちゃったんだよ」
「は?」
「ねー」
「そうなんです、捕まえちゃったんですー」
 わけがわからない。誰かこの状況を私に説明して欲しい。
「そういえば君の名前聞いてなかったね」
「鶴町伏木蔵ですー」
「伏木蔵くんね、おじさんは雑渡昆奈門だよー」
「こなもんさんですね」
「いや、昆奈門なんだけど」
 ほのぼのと自己紹介までし始めた二人にかける言葉など出てくるはずもなく、唖然としてしまう。というか、名前も知らないままドーナッツ食べてたんですか。貴方って人は。




 結局、鶴町くんがドーナッツを食べ終えるのを待って、それから店を出た。
 外はすでに日が沈み、とても女の子を一人で帰せるような時間ではなかったが、送っていこうかという申し出は本人に断られてしまった。
 曰く家は近いし、暗い中帰るのもスリルなのだそうだ。…どこか変わった子だ。
 雑踏にランドセルを背負った背中が紛れて見えなくなって、ようやく職場に向かうことが出来る。隣を歩く上司はどこか機嫌が良さそうだ。
「…ご機嫌がよろしいようで」
「あ、わかる?」
「わかりますよ、何かあったんですか?」
「うん、伏木蔵くんとアドレス交換しちゃったー」
 最近の小学生はみんなケータイ持ってるって本当なんだねぇ、と楽しそうに話す上司の姿に目眩すら覚える。
「…ずいぶん気に入ったんですね、あのこの子を」
「ん? まあそりゃ、捕まっちゃったからね」
 言っていることは相変わらずわけがわからない理由だが、この人の本音であることを感じて私は溜息を零す。




捕まえられました。
(どうか警察沙汰にだけはなりませんように)





再び俺得設定ですみません。妄想が止まらなくて、自分でもどうしようかと思っております…
雑渡さんの職業が未だに思いつかないので、諸泉くん「雑渡さん」って呼んで貰いました。現パロで組頭ってもうや○ざ決定ですしね(苦笑)




2010/09/06