※現代転生パロ、伏木蔵女体化 物心ついたころから、わたしは誰かを探している。 誰を探してるのか、名前も顔も、探す理由だってわからないのに、わたしはその人を見つけることが出来たなら、絶対にその人だってわかるって確信があった。 友達にそのことを話すと、意味がわからないとか、止めといたほうがいいとか言うけれど、ヒントなしで誰かを探すなんてスリルがあっていいと思うのに。わたしはどこか他の人とは少し違うらしい。違うこともスリルがあっていい。だって、みんながみんな一緒ではつまらないじゃないか。 わたしは今日もまた日課となった誰かを探しをしていた。 一人であてもなくいろんなところを歩いて、その誰を探すのだ。 探すのはたいてい学校が終わって友達と別れた後、太陽が沈んで辺り一面を真っ赤に染める、いわゆる黄昏時。 黄昏時はその誰かを早く見つけれるような気がするから、この慈顔に探し回るのがわたしは一番好きだ。 (早くみつけたいなぁ) 一分一秒でも早く、誰かを見つけたい。 (つかまえたい、な) ――ぽつ、ぽつ 晴れていたのに、突然雨が降り始めた。もちろん傘なんて持ってないわたしは濡れるばかり。 雨足がどんどんと強くなる。 (雨のにおいは嫌いじゃないけど) 学校の先生が言うには雨のにおいというのは大気中のほこりのにおいなのだという、だから雨は汚いのだと。 (ばっちいのは、好きじゃないんだよね) でも、今更あわてたところでもう濡れてしまっている。 (酸性雨に体をさらすってある意味ではすっごいスリルかも?) そう思えば、なんだかこの状況も楽しくなってきた。 雨から逃げるように足早な人たちにわたしはどんどん追い抜かされていく。わたしはお構いなしに小さく鼻歌を歌いながらゆっくりと上機嫌に歩く。 路地の片隅にあるごみ箱を漁ろうとしていたカラスがカァっと一声鳴いた。それを合図にしたように雨足は弱まっていく。 止んでいく雨を見送るように空を見上げる。 (ああ、もうすぐ夜になってしまう) 気に入っているこの黄昏ももうさよならだ。そろそろ家に帰らなくちゃいけない。 そう思って歩き出そうとしたとき、前を歩くしらない大人の男の人の背中にわたしの目は奪われる。 「…見つけた」 見つけた。やっと見つけた。あの人が探していた人だ! わたしはその背中を目指して走り出す。ゆったりと歩いているように見えるのにその人の歩調はずいぶんと早くて、いっしょうけんめい走っているのに、なかなか追いつけない。 (つかまえるか、逃げられるかなんて、すっごいスリル!) ゾクゾクするほど楽しくて、笑ってしまう。 ようやく追いついてきたその背中、ちょっぴりくたびれた黒服を後ろから飛びかかるようにして、掴んだ。 「…何かご用かな?」 慌てることもなく振り返ったその人は片目が眼帯に覆われていた。残っている片目がわたしを品定めするみたいに見ている。 その人がどう思っているかなんて、関係ない。わたしはようやく探し続けた誰かをつかまえられたことが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。押さえきれない感情が、満面の笑みになってわたしからあふれ出す。 「つっかまえたー!」 「……捕まっちゃった?」 困ったように首を傾げるその人。わたしはまだおさまりそうもない衝動に任せて、その人に飛びついた。 チャンスをその手で掴め! (もう絶対に離したりなんかしませんから) 最近雑伏が熱いです。26歳差ってなんかもうどうすればいいの…!雑渡さん(36)と赤いランドセルの伏木蔵(10)とか俺得な話でごめんなさい。というかランドセル一切本文出てきてないですね、すみません しかし、雑渡さんの職業が思いつきません。定番のや○ざ?それともSPみたいなやつ?悩む…雑渡さんの職業案募集中です! 2010/09/02 |