・ジノルル♀幼馴染設定 ・ジノの口調など捏造 ・ありえない展開 …大丈夫な方のみお読みくださいませ! 「大きくなったら、俺のお嫁さんになってよ」 「え…」 「いいだろう? 大好きなんだ。ずっと一緒にいたい」 ジノからの突然のプロポーズ。ルルーシュの気持ちはジノと同じだったけれど、驚きのあまり返事をすぐに返すことが出来なかった。 (でも、返さなくて良かったんだ…) アリマンヌを殺され、妹のナナリーと共に日本に送られたルルーシュ・ヴィ・ブリタニアはもう死んでしまっているのだから。 ナナリーを守るため、ルルーシュは女であることをやめた。髪を切り、服を変え、言葉を変え、男のように振舞った。アッシュフォードに匿われるようになってからも、それは変わらず、ルルーシュは男として過ごしていた。 ゼロとしての記憶を取り戻してからは、ブリタニアを倒すため、そしてナナリーを奪還するために、ルルーシュはまたゼロとして黒の騎士団を率いている。 (計算外だ…!) 諜報のため単独で活動をしていたゼロの前にブリタニアのKNFが現れた。量産型とは違う形状のそれは、おそらく特別にカスタマイズされた専用機なのだろう。 咄嗟にスラッシュハーケンを撃つがそれはあっさりと跳ね返され、いつの間にか定められていた銃口が火を噴いた。 「……っく!」 一瞬死を覚悟したが、全身を強く打ち付けただけで済んだ。始めから倒すのではなく、無力化することが狙いだったのだろう。しかし、このままコックピットにいても状態は良くならない。むしろ増援がやってくる可能性のほうが高い。 (相手はまだ1人…ギアスさえ掛けられれば…!) 全身を強く打ち付けたせいかうまく動かない体を叱咤し、ルルーシュはコックピットから出る。敵KNFの銃口は油断することなく、こちらへと向けられていた。 どう突破するべきかそう考えた瞬間、ぐらりと激しい眩暈がルルーシュを襲い、額には何かが伝う感触がする。どうやら、先ほど体を打ったときに額を切っていたらしい。眩暈が治まる前に、仮面が軽い音を立てて外れていく。先程の衝撃に開閉スイッチが故障してしまったのだろう。 今更慌てて取り繕っても意味がない。ルルーシュは素顔のまま敵KNFを見据えた。そのとき、今まで油断なく銃口を向けていたKMFが不自然に固まった。 (なんだ…?) ルルーシュが訝しがっているとKMFは突然銃口を下ろし、地面に降り立つとそのシステムを停止させた。そして間を置かずコックピットから誰かが出てくる。 (チャンスだ。ギアスを…!) そう思った瞬間、懐かしい声がした。 「ルル!!」 「え、」 「ルル! ルルなんだろ!? 俺だ、ジノだ!」 昔の面影を残したまま、少年から男へと成長を遂げたジノの姿がそこにあった。ルルーシュは突然のことに言葉が出ない。 その間にジノはルルーシュの前に駆け寄ってくる。 「…やっぱり、ルルだ」 ジノはルルーシュの体を労わるようにゆっくりとその細い体を抱き締め、薄い肩に顔を埋めた。 「…生きてて、良かった…!」 震えているジノの声がその言葉が本当のことだと伝えていた。思わず、その背に手を回して抱き返したかったけれど、それは出来なかった。ルルーシュはジノの腕の中でもがく。 「…おまえと俺は…敵だ…っ」 ブリタニアに属する者と反逆する者。2人の立場は異なっている。 「それがなんだって言うんだよ!」 離さない、そう言うようにジノは腕に回していた力を更に込めた。 「…俺の1番は、ずっと変わってない。誰よりも、何よりもルルが好きだ…!」 「ジ、ノ…」 「裏切り者にだってなんだってなる。俺はルルを守るよ」 まっすぐにルルーシュを見つめてジノはダメか、と不安そうに聞き返す。様々な思いが溢れかえって上手く言葉にならず、ルルーシュはジノにしがみ付くように抱きついた。それが答えだった。 「今度こそ絶対にルルを守るから」 あの再会から数ヶ月、すっかり黒の騎士団に馴染んだジノは今日もまたルルーシュの傍にいた。 「ルル」 「どうした、ジノ」 「全部が終わったらさ、俺のお嫁さんになってくれんだよな?」 「おま…っ 突然、何を…!」 「え、なってくれないのかよ?」 「だ、誰がならないと言った! …あっ」 「へへ、これからもよろしくな。未来の奥さん!」 「この、馬鹿者…」 いつかまた幸せに過ごせる優しい世界を手に入れるため、2人は共に世界に抗う。 IRIS
2008/04/24 2008/11/19(改訂) |